多くの人口を抱え、国の経済を支えるこの重要な沿岸地域の消失が、近年深刻な問題となっているインドネシア。その被害は、全人口の50%以上が暮らすジャワ島で最も大きく、特に中部ジャワ州ドゥマック県沿岸に居住する人々は海岸浸食の最大の被害者であるとされています。オイスカが活動を行う、サユン郡内のブドノ、そしてティンブルスロコといった沿岸の村々でも、現地でRobと呼ばれる「満潮時の海水面の上昇に伴い海水が内陸部に浸入し、洪水を引き起こす現象」に頻繁に見舞われています。沿岸部にある「子供の森」計画に参加する学校でもその被害は大きく、例えば、ティンブルスロコ第一小学校では、ほぼ毎日、満潮時に海水が流入するほか、大潮に際しては、嵩上げされていない右側校舎の教室内にまで浸水被害が出ています。また、同校の既存のトイレは、教員用と児童用にそれぞれ1室ずつしかなく、同校の児童数(138名)に対し、絶対数が不足。さらに、校内には手洗い場が設置されておらず、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、衛生面でも問題を抱えていました。
こうした窮状に対し、同校における水害の影響を軽減し、子どもたちが安心して勉強に専念できる環境を整えるために、今年度TOTO水環境基金の助成を受け、校舎のかさ上げ、校庭の埋め立て、トイレの建設といった支援を行うこととなりました。
6月~7月には、海水が溜まった校庭を、土砂を使って50~80㎝の高さで埋め立てる一方、北側校舎(低学年用教室3つと職員室、テラス)床の嵩上げ(100㎝)とタイル貼りを行いました。期間中は、子どもたちの保護者も毎日交代で労働奉仕に参加し、しきならし作業などに汗を流しました。
作業に参加した保護者からは、「これまで、私たちも校庭の埋立てのために学校へ寄付してきましたが、家計が苦しく大変でした。今回のご支援は経済的にも大変助かります」と喜びと感謝の声が多く聞かれました。現在はトイレや手洗い場の建設を進めているところです。ドゥマック県では、8月現在、人数を制限した上で、対面授業も再開されています。ティンブルスロコ第1小学校の子どもたちもさぞかし大喜びしていることでしょう。