メットライフ生命のご支援により、2023年7月よりインドネシアの3つの地域で植林を中心としたプロジェクトを展開しています。6月末を持って、1年間のプロジェクトも無事に終了し、植林活動についても当初予定していた2万本を超え、合計20,797本(補植を含む)の苗木を植えることができました。
前回のレポート以降に実施した活動や、植林地の近況について、ご報告します。
スカブミ県チチェメト小学校
◆植林地の管理とモニタリング①(4/27~4/28)
植林地では、苗木とあわせて雑草も勢いよく生長しています。このため、苗木の周辺の草刈りやモニタリングを行いました。雑草は土壌の養分や水分を苗木と奪い合い、また太陽光を遮るなどして苗木の生長を妨げてしまうため、定期的に除草することがとても重要です。作業後には、モニタリングを実施。苗木の生長は順調ですが、乾燥や強風により一部の株が枯死してしまっているため、一部補植する必要があることなどがわかりました。
◆植林地の管理とモニタリング②(5/27)
植林したスレン(センダン科)。生存している苗木は順調に生育していますが、雑草の生長も著しいため、定期的な管理が必要となります。
◆補植作業(6/7~6/9)
乾燥や強風などにより一部枯死してしまった箇所について補植を行いました。
まずは、地域住民らとともに枯死した箇所を特定し、その場所に植穴を掘ってからヒメツバキ、パサン、ラサマラ、コブミカンなど350本の補植を行いました。
子どもたちを対象にした活動は、卒業を控えた6年生15名と教員の参加を得て、6/8に実施。アイスブレーキングを行い、正しい作業方法を説明してからヒメツバキ、ラサマラなど330本の郷土樹種の苗木を植樹しました。
◆植林地の様子
上写真:植林前 中央写真:2024年3月 下写真:2024年6月
定期的なモニタリングと管理により、順調に苗木が生長している様子が伺えます
◆環境教育(研修会 3/1~3/2)
学校での環境保全活動をさらに充実させるため、チチェメト小学校の児童35名、教員5名が研修として、オイスカスカブミ研修センターおよびカラントゥンガ第5小学校を訪問。研修センターでは農業研修の体験や環境学習、カラントゥンガ第5小学校では、それぞれの取り組みについて報告しあったほか、現場の視察などを行いました。
◆環境教育(学校菜園 3/25)
3月25日は、環境教育の一環として学校菜園の取り組みも実施。子どもたちは、野菜の植え付けについて説明を受けた後、各自でポットに種を蒔き、水やりを行いました。各家庭でも実践できるよう、コーディネーターが収穫までの管理方法についても説明を行いました。
◆環境教育(学校菜園 5/3)
ポットに植えた空心菜の収穫作業を行いました。収穫した空心菜はそれぞれの家庭に持ち帰り、家族と一緒に料理をして食べました。自分で野菜を植え、育て、収穫するのは初めての経験だったことから、子どもたちはとても楽しそうに作業していました。
ジョグジャカルタ・スレマン県チャンクリンガン郡
◆植林後のモニタリング・管理
コーディネーターが定期的に巡回指導を行っています。 植林後の管理作業では、生徒たちが草刈りや水やりを定期的に行っています。地域住民も苗木に肥料をあげたり、ごみ拾いを行って協力してくれるなど、学校だけでなく地域全体で植林地の維持管理に努めています。
◆植林地の様子
左写真:植林前 右写真:2024年6月
乾期が長く、厳しい気候だったため一部葉が枯れてしまった苗木もありますが、水やりをしっかりと行っていたため、全体として順調に生育しています。
◆環境教育(廃油ろうそくづくり 5/25)
農民女性グループによる廃油を使用したロウソクづくり
◆環境教育(エコプリント 5/30)
ウンブルハルジョ第2小学校における植物を使ったエコプリント(草木染め)
マドゥラ島スメネプ県
◆植林地のモニタリング(2/28)
スメネプ第6中学校の生徒とともにマングローブの生育状況を確認
◆植林地のモニタリング(3/27)
周辺に住む子どもたちとモニタリングを実施。2023年7月に植えたものは葉が10~26枚、12月に植えたものはすでに4~10枚になっている様子が確認できました。
◆植林地のモニタリングと清掃活動(4/30)
スムネップ第3高校およびスムネップ県ムハマディア第1高校と合同でモニタリングを実施。生育調査とあわせて、植林地内に堆積した木材等のゴミを清掃しました。
◆植林地の様子
右写真:植林前 左写真:2024年6月
学校と合同で定期的にモニタリングと生育調査を行っています。6月末に確認した際には、季節風の変化の伴う大波と植林地に流入するゴミによって一部のマングローブがダメージを受けていましたが、全体としては順調に生長しています。今後も必要に応じて補植を行いながら、管理を続けていきます。
◆環境教育(マングローブセミナー 5/28)
21の学校から各2名の代表教員、地元の植林グループ、講師など64名が参加して、マングローブの保全に関するセミナーを実施。インドネシア自然保護グループ・コミュニケーション・フォーラム、県環境局、マドゥラ・イスラム大学からのスピーカーによる講義のあと、質疑応答を行いました。参加者からは、「マングローブとその役割について理解を深めることができた」、「生態学的側面および経済的側面の両面におけるマングローブ林の活用方法を学ぶことができた」というような感想が得られました。
植林後の定期的なモニタリングと管理によって、それぞれの植林地で苗木が順調に生長している様子が確認できています。またそうした植林の意義や、環境保全に取り組む大切さを子どもたちや教員、住民が理解して主体的に取り組んでいけるよう、環境教育にも力を入れました。各地域で学校や地域が協力しながら自主的に植林地の管理が行われている様子や、各活動に対する参加者の積極的な姿勢からも、環境教育の成果が少しずつ実を結んでいることがわかります。
1年間のプロジェクトは終了しましたが、植樹した苗木がきちんと育っていくよう、それぞれの学校や地域の財産となっていくように、引き続き定期的なモニタリングを行いながら、植林地の管理や、各校における環境活動のフォローを続けていきます。